3大成人病のひとつ「歯周病」原因はお口の中のバイオフィルムです。

治療の基本はこのバイオフィルムを取っていくことになります。
バイオフィルムとは、お口の中の細菌同士がタッグを組んだようなもので、通常の歯ブラシやうがいではとれず、歯科医院で取ることになります。
そして一度取っても、再びまた出来てしまいます。
ですので、定期的にこれを除去する事が歯周病の治療・再発防止・予防になるのです。

一方で、バイオフィルムの正体である細菌そのものを、セルフケアで毎日キレイにする事も大事です。
磨きすぎはよくありませんが、一日一回、寝る前のブラッシングはしっかりしていただく必要があります。
谷川歯科では、間違った磨き方をしていないか、歯ブラシの選択はあっているか、をチェックして練習します。

歯周病はその他に、全身疾患との関係や、噛み合わせ、口の中のかぶせ物、生活習慣など、様々な要因が絡み合って悪化している場合が多くありますので、それらの治療も合わせて行っていくことになります。

10人の患者様には10通りの治療方法・順序があります。

基本のバイオフィルムの除去をしつつ、場合によっては歯石を取ったり、お薬を使ったりして治していくことになります。そして、歯周病は再発しやすい病気ですので、治療が一旦完了となった後も、定期的なメインテナンスを受けていただくことがとても大切です。

メインテナンスでは痛い事は一切いたしません。
歯科医師がチェックをした後は、衛生士が歯のクリーニングをおこない、全てのバイオフィルムを取り除きツルツルの歯に仕上げるのです。
お口の中の細菌を一旦リセットすることで、歯周病菌の繁殖を抑えます。
サイクルは歯科医師が患者様のお口の状況を見て判断しますが、1ヶ月に一度~半年に一度のペースになります。

症例1 30代男性

歯周病 症例1 30代男性
歯周病 症例1 30代男性
左が初診時(術前)で、右が3ヶ月後(歯周病治療の第一段階終了後)です。
左の写真では全て、歯ぐきが紫~黒っぽい色をしているのがみえます。歯石も多量で、歯ぐきが腫れています。
右の写真では、歯ぐきがキレイなピンク色を取り戻し、歯ぐきにもツヤが出ています。これは歯石を含め、全てのバイオフィルムを取り除いた結果、毒を出す細菌が減少し血行が良くなったからです。口臭も劇的に少なくなり歯ぐきの腫れも引きました。このあと虫歯の治療やかぶせ物のやり直しをして、さらに菌が繁殖しにくい環境を作っていくことになります。
これで完治したわけではなく、ちょっと歯磨きをさぼったり、体調をくずして免疫力が下がったりすると、すぐに再発してしまうのが歯周病の特徴です。
この右側の状態をキープするために、この方の場合は3カ月に一度の歯のクリーニングが不可欠です。

症例2 30代男性

歯周病 症例2 30代男性
左が初診時(術前)で、右が10ヶ月後(歯周病治療とかぶせ物の治療の終了後)です。
歯周病の治療を半年ほどかけて行ったあと、古いかぶせ物を全てやりかえました。
古いかぶせ物は擦り減ったり、歯ぐきが下がる事で段差が出来たりするので、細菌の溜まり場になり、歯周病の悪化原因となるのです。
この方も、古いかぶせ物の周りを中心に歯周病が進んでいました。

治療前の左側と、治療後の右側の写真…ぱっと見ただけで、歯ぐきの色が全く違うのが見てとれます。
左は、全体に紫がかっていて、ツヤもありません。
右は歯ぐきが薄いピンク色をしており、血行が良くなったのでツヤもあります。

また、かぶせ物も保険のプラスチックや金属の物を全てセラミックに交換しましたので、汚れも付きにくくなり、歯も白く艶やかで、より一層清潔感が増しています。

喜ばしい事に、喫煙者だったこの方は、歯の大事さ、歯がキレイになる事の喜びを感じられ、治療終了と同時にタバコをやめられました。
この事により、これから数カ月から数年かけて、歯ぐきに沈着したタバコの色素も抜け、さらには、歯ぐきの血行も良くなるので、ますます健康的なお口元になる事かと思われます。

3カ月に一度のクリーニングをこれから続けていくことになりますが、この状態を歳をとって寿命をまっとうするまでキープできる事を願います。

症例3 40代男性

歯周病 症例3 40代男性
左が初診時で、右が8ヶ月後(歯周病治療終了時)の写真です。

歯ぐきから血が出るのをなんとかして欲しい、と言う事で来院されました。
お口の中を拝見すると、歯並びがキレイで、虫歯もほとんどなく、『歯そのものはとてもキレイ』な方でした。

残念ながら、長い間、歯科治療はもちろん歯科健診も受けた事がない方でしたので、正しい歯の磨き方も御存じありませんでした。

当院ではまず、歯周病について知って頂くために1時間時間を使いました。その時にこの方に合った歯の磨き方をお教えしました。
その後、何回にもわたって、歯の表面上の汚れをとり、さらに歯ぐきの下に隠れた大量の歯石取りをしました。
日に日に歯ぐきの状態は改善しましたが、長年の悪い磨き癖があって、いつも同じ所に磨き残しが出来てしまわれるので、当面、2カ月に一回来ていただき、メインテナンスをしています。